△この絵は2002年夏の終わり、観劇の感動さめやらぬ中描いたものです。△
▲幕がおりてからの、幕の向こうでのアイリスとレニの様子を想像しました。▲


『 新 編 八 犬 伝 』 感 想

☆ 内容は アイリス & 西原久美子さん 中心です ☆  

▼ 2002年夏を思い起こし、2003年6月記す。 文&絵=じょや ▼




 ■歌謡ショウについて■


  <先入観と後悔の念>

 いわゆる“食わず嫌い”だったのだと思います。
 自分の好きなゲーム『サクラ大戦』、それが“実写”になっている・・・そこに、観に
 行きもせずに違和感しか感じなかった過去の自分。なんと愚かだったことか。

 DVDを見始めて、「こんなに良いものだったのかっ!?」と開眼しました。
 「行きたい!」と思いました。
 それから、次々と全ての公演DVDをそろえました。
 DVD見る度に激しく「後悔」の念が渦巻きました。
 「どうして今まで観に行かなかったんだぁ〜っ!」という・・・
 タイムマシンが本当にあったら、過去の自分に見せてやりたい。
 そして、歌謡ショウに行け、と言ってやりたい・・・。


  <アイリスがいる>

 特に、DVDを見る前は、どうしても「実写アイリス」というものを想像できなかった
 し、正直、想像したくなかったのです。有り得ないだろうと思っていました。
 しかも同じような年齢の少女が演じるのではなく、声優さんが演じる。
 「それは妙だ、妙に違いない」と勝手に決めつけていたのです。

 ところがDVDを見てみたら。

 「え・・・ちょっと・・・何? すごい・・・アイリスがいる・・・!」

 ・・・衝撃的でした。・・・本当に、アイリスがそこにいました。
 西原久美子さん(を、含め全ての声優さん)は、声だけじゃないんだと、その時、
 初めて思ったのです。ほんっっっっとに、愚かでしたね。私。

 そんな事は、既に多くの人が分かっていることだったのです。私が知らないだけでした。
 ・・・取り残されていた。自分は遅れている。一人で恥じ入りました・・・。 

 西原さんは「花組」の中では背の高い方で。でも、それも、見始めた時からもう全く
 気にならなくなっていましたね。時折、カンナとの比較ネタなどでギャグってるのを
 見て「ああ、そういえば(^^)」と思い出す程度です。

 西原さんの声、動き、仕草、表情、それらを全て含めた演技。
 見事に、“アイリス”だと思いました。違和感など、微塵も感じさせない。
 私の愚かな先入観は跡形もなく浄化しました。

 ほんとに可愛いんです。西原久美子さんのアイリス。
 もう、西原さんの演技を見てると言うより、
 私にとっては、「アイリスの演技を見ている」。
 「アイリスに会いに行く」感覚です。
 それほどに西原さんの演技が絶妙なんです。自然にアイリスを感じさせる。
 それは、西原さんの数多くの魅力の中の1つだと思います。


  <臨場感>

 2002年夏、以前は「実際に行くことはまずないだろう」と思っていた歌謡ショウに
 実際に行き、感激のあまり心酔し、現在に至ります。

 DVDも、きちんと編集されててすごく良いのです。
 ですが、実際に行くと迫力が違います。感激が違います。
 臨場感が違います。「太正」時代にタイムスリップ、です。

 あと、毎公演、アドリブが違ったりするし、自分が行った公演でDVDに無いセリフが
 あったりするととても得した気分です。アドリブじゃなくても、細かい演技がその場そ
 の場で違ったりします。自分が行った公演の思い出は、心の中で大切な宝物になります。



 ■『新編八犬伝』での西原久美子さん■


  <ハマリ役>

 順序が逆のようですが、まず、第2幕の劇中劇「八犬伝」から。
 私が『新編八犬伝』で“ハマリ役”だと思うのは・・・。

 団耕助の山下定包。あの悪者っぷりと歌が圧巻でした。

 レニの犬川荘介。「毒はきかない」のセリフが、妙に実際のレニと重なっていて良かっ
 たです。自分も演劇をやるとしたら言ってみたいセリフです。気持ち良さそうです。

 マリアの犬山道節。怪しさと気合いがすばらしかったです。
 狂気じみた笑いも、敵か味方かはっきりしない感じを醸し出していました。

 そして・・・次は究極です。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆アイリスの犬村角太郎☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  
 これはハマリ役と言うよりも「私がハマった」のです。
 “八犬士”なのにカワイイ。“八犬士”なのにメルヘンの登場人物のよう(*^v^*)。
 でも、それでいて“八犬伝”にマッチしている。しかも、空中で大回転・・・!
 セリフに声にしぐさ、動き・・・演じ方の全てが可愛らしく魅力にあふれ・・・
 惚れ込みました。

 空中回転の時はすごく心配でした。「西原さん」のことが。
 でも、同時に・・・「アイリス」なら大丈夫、霊力もあるし、何よりも・・・
 みんなに守られている、とも感じました。

 そしてめちゃくちゃ、感情移入しました。
 「角太郎」が悔しがって怒るところでは、一緒に悔しがって手を握りしめていました。
 本当に、あの“猫じじい一味”をぶっとばしたい!!・・・と思いました。
 (千葉助さんだから、本当には憎めないんですが(^^)
 
 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 

  <アイリスと帝劇>

 そして次に、第1幕、帝劇での出来事を描いた部分です。

 空間移動装置で妙な所から突然登場したアイリス。
 登場を、今か今かと待ちわびていただけに、私の心の中は嬉しさ、歓喜で大はしゃぎで
 した(^^)。すごく可愛い登場の仕方でした。“帝劇”という、この「大家族」の中で皆
 に愛されて無邪気に生活している“ちっちゃなアイリス”。
 そんな雰囲気を、このシーンで感じ、すごく和んだ気持ちになりました。

 マリアの歌の間に、アイリスがフランスでの孤独時代を語る場面も印象的でした。
 なんとなく、うるうるしてしまいました。ああいう過去を、ああいう場面でなにげなく
 語れるようになったことが、アイリスにとって帝劇が本当の“家”となり、やすらぎを
 感じられる場所になった、ということの証のように感じました。

 ハラハラしてしまったのは、カンナとのやりとりです。
 いつも優しいカンナが、すみれ引退で心を乱し、アイリスにまで食ってかかる様子を見
 たとき、心が痛みました。まず、ショックを受けるアイリスのことが心配になりました。
 そしてカンナのこと、花組それぞれの思い・・・。

 カンナがアイリスに対して、あんなふうに感情をぶつけるなんて、滅多にないというか
 ・・・最初で最後のような気がしました。第1幕の最後には、カンナがいつもの思いや
 りある様子を取り戻し、アイリスも感動してる様子が伝わってきて・・・
 本当に良かったと思えました。


  <飛ぶアイリス>

 「希望の星よ」を歌った後、幕間に登場して「ありがと〜〜〜」と手を振ったアイリ
 スに、こちらも「ありがと〜〜〜」と叫び返したい気分でした。すばらしいものを見せ
 ていただいている、という感謝の気持ちですね。花組のみなさんやスタッフの皆さんに
 対する気持ちです。そして特に特に、自分の“夢”を目の前で見せて(魅せて)くださ
 った西原久美子さんに。

 おちゃめでおしゃまでおてんばなアイリス。
 寂しがりやで健気で純粋なアイリス。
 天真爛漫で、全身で喜びを表現するアイリス。
 そして・・・“飛ぶ”アイリス。

 “犬村角太郎”のところでも、「心配だった」と書きましたが・・・
 とにかく、このワイヤーアクション、期待も大きかったですが、心配も大きく・・・
 西原さん、どうか、ケガだけはなさらぬように・・・と、祈っていました。
 実際に飛んだアイリスを見ている時は、もう、感動で頭も心もいっぱいで、何か考えて
 いる余裕はありませんでした。

 観劇中の“太正気分”で言うならば、ワイヤーなんか無かったんです。
 アイリスが、霊力で、飛んでいたのです。
 霊力とは・・・西原さんの思い、アイリスの思い、花組の思い、スタッフの思い・・・
 それに、観客である私たちの夢・・・。
 それらが混ざり合いパワーを生んだ、その1つの奇跡です。

 観劇を終えた後の気分で言えば、やはり“ワイヤー”にもありがとうを言いたいです。
 練習に練習を重ね、実現した「夢」だと思います。
 みんなの思いが、そしてワイヤーが、夢を形にしてくれたのです。

 あのアイリスの「ありがと〜〜〜」に・・・
 自分の感謝の気持ちを、重ね合わせていました。

 耳に焼き付いて離れません。この上なくやわらかく、優しく、感動で胸いっぱいになっ
 ている アイリス=西原さん の声。
 その声を聞き、笑顔で手を振るアイリスを見て、私はどんな顔をしていたでしょうか。
 癒されました。信じられないほど優しい気持ちになる自分を感じました。感無量でした。
 今でも、あの時の感動は、はっきりと私の体に残っています。心と言うより「体」に。

 次の公演も、あの体の芯から震えがくるような心地よい感動を、味わいに行きたいと思
 います。 
      

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