ことのは華劇壇<舞台裏>13 帝劇にて







 なぁ、すみれ。これで、花組で“ことのは”に登場してねーのは、あたいらだけになったわけだ。

 …。そうですわね。…それで?

 ここはひとつ、どっちに先に出演依頼が来るか、勝負…

 おっほほほほほ…。カンナさんにお譲りしますわ。どうぞ次回出演なさってくださいまし。

 なっ… お、おまえ…どうしたんだ。なんか、変なもんでも拾い食いしたのか。

 失礼な! カンナさんじゃあるまいし、そんなこといたしませんわ。

 だとしたら、いったい… な、なんだその余裕の表情は。なにを企んでいるッッッ!?

 心配なさらずとも、先にカンナさんに依頼が来ますわよ。
 なにせわたくしは花組のトッッッッッッッッッップ・スタァ。
 やはり登場は8人の中で最後…満を持しての登場が似合うのですわ〜。おっほほほほほほ…。

 くっ…な、なるほど。そういうことか…。
 けどよ、おめぇ…前に喋ってた時は早く出たいみたいなこと言ってたじゃねぇかよ?

 あぁら…そ、そんなこと申しましたか?
 いえいえ、それは皆さんに話を合わせたのですわ。
 早く自分の番が来ないかと焦ってばかりの皆さんが不憫で…おほほほ。

 …。

 なっ、なんですの? その目は…

 へっ…まぁ、いいや。あたいが先に出て、次回おめーが喋りづらいようにしてきてやるぜ。

 ! …な、なにをなさるおつもりですの?

 それはな…へへっ、お楽しみってことで。じゃなー。

 ちょっ、お待ちなさい、カンナさ…

 あ、おーい、お2人はん。次回の“ことのは”やけど、すみれはんが呼ばれるらしいでー。

 ……。

 ……。

 




 
      【次回の“ことのは華劇壇”放送をお楽しみに。】


      


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