2 オープニング曲 レビュー「新・青い鳥」

前説の前に道化たちが鳴らしたあのカランカランという音。
それが開幕のベルだったわけです。
2幕と3幕が始まる時も同じです。鳴らす人は違いますが。
今回は最後まであの「ブー」という音を使いませんでした。

今回のオープニング曲、大好きです。
アイリス&レニが中心であること。
チルチル=レニ & ミチル=アイリス の息の合った動き。
「青い鳥」の感動世界への引きずり込まれ感。
そしてミチルの可愛い歌声に癒されまくり。
それらを総合して今までで一番好きになりました。
まさに童話の世界、幻想の世界に舞う小さな兄妹。

……エアリアルもあった ら し い のですが……
申し訳ない、それは私には見えていませんでした。
理由は言わずもがな。

ミチルのことは、一挙手一投足、全て見てました。
細やかで清らかな表情の変化。輝きに満ちた笑顔。
元気な、生き生きとした動き。心に直接響いてくる歌声。
綺麗に伸びた輝くような腕の、絹のような肌も印象的。
ミチルだけを見てました。自信を持ってそう言えます。


さて歌詞はまずチルチルが
「たーくさーんのー、眩い光と色をー」 そしてミチルが
「たーくさんのー、台詞と歌とおどーりーにー♪」
と笑顔で歌います。
耳と脳だけじゃなく体中に染み渡る心地よい歌声です。
…一言一言、かみしめるように歌っていると感じました。
台詞、歌、踊り、そのそれぞれに深く思いを込めて。
その思いが自分の心に強く伝わってくる気がしました。

その後、後ろの花組メンバー(それぞれ「新・青い鳥」の
役柄の衣装)や道化たちが全員で合唱。この全員合唱も、
とても好きです。…波動がきました。波動です。
「かさーねあーわせー、ショウが始まるー…」
この歌詞を聴いた時、不思議な感じが体を駆け抜けました。
たくさんの台詞と歌と踊りに光と色を重ね合わせる。
そして舞台が始まる。
そうか。この世界もそうだ。そうやって出来ている。
自分は間違っていた。劇や物語の世界と違って現実は
苦しみと悲しみと嘆きだけが積み重なっていき、
素晴らしい夢など現世の中には見いだせない、
そう決めつけるようになっていた。
…だけど、ちがうんだ。

次のミチルの歌声は、道化の肩の上に上げられての
「だーけどーなぜーだろー現実はー…不安だらけー…」
…不安。希望を持っていても、信じられる人がいても、
なぜか襲ってくる不安。いや、希望を持つからこそ?
柔らかな声でありながら「不安」な感じを醸し出す
絶妙な歌い方だと思いました。

それからすぐ全員合唱の後にチルチル&ミチルが
「しあわせーをー探してみよぉー…よっ!」
と前に出て右と左に離れて歌います。
この終わりの …よっ! というミチルの声が
とてもはっきり、可愛く明るく響いていました。
心から一緒に幸せを探してみたくなります。
腕をあげるポーズも可愛かったし、
嬉しそうに駆け寄ってチルチルと両手をつないで
くるっと回る様子も実に愛らしかったです。

再び全員合唱。その後、ミチルが
腰を屈め「しーっ」と右手でジェスチャー。
(全員やってたようですがもちミチルしか見えてない)
華やかで元気の湧く雰囲気でここまで来たのを
この「しーっ」で一変させ、神秘的な雰囲気に。
ミチルの引き込むような表情が上手いんだ、これがまた。

これは青い鳥=さくらの登場を演出したのでした。
せり上がった青い鳥はソロで歌った後、客席へ。
合唱の歌詞の間に「幸せを、探してみよう」
というチルチルに対し、ミチルは
「ほんとうに、幸せがあるの?」
と不安げに手を握る。

ここで青い鳥がとんでもないことを。
客席から1人、舞台上に引っ張り上げるという…。
チルチルミチルに挟まれて、優しく誘導されて。
羨ましすぎました。
歌の最後は合唱で「君のためのショウを始めよう」
…なるほど…そういうことか…
ほんとにひとりひとりのためのショウなんだという
ことを言いたかったんですね。

言われなくても分かってるつもりだったけど
改めて言われると…なんかすごく有り難いです。

さきほどの不安げなミチルの台詞に対して
青い鳥はこう歌いました。
「それを探す旅をしよぉー…♪
さあーショウをはじーめよぉー…」
幸せを探す旅。それがこの歌謡ショウ。
幸せを探す道程、それが人生。
今ここにある幸せを噛みしめよう。
思いを込めて重ね合わされた夢を全身で感じよう。
思いのままに喜び、感謝しよう。
感謝を知る者こそ幸せを感じられるんだ。

…その瞬間に感じていたこと、というよりは、
その時の感激を思い出して言葉に変換してます。
脳が興奮してて落ち着いて考えられなかったけど
その日に言葉にはできなかったけど
きっとこんなことが言いたかったに違いないと…。

今頃になってやっと噛みしめているのかも知れません。

                  ( 05 10/17 ) 

                   (つづく)

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