6 絶対に


ふんわり、アイリスならではの切り返しに対し
日によって「き、聞いてくれ!」とか「話きいてもらえるかな?」とか
いつもマイペースすぎるほどマイペースな筈の川岡がお願いモードに。
毎日ちがうアイリスの反応に川岡もたじたじだ!
アイリス、面白いうえに可愛い。可愛くてしかも面白い。
しかも川岡ギャグにズッこけるとかあきれるんではなく、
まともに返して、ついてくる。さすがの川岡も苦戦(?)

想像するに、川岡は普段、徹底的にほっとかれ気味なのです。
こんなにまともに反応してくれたのはアイリスが初めてなのでは?
ちょっと川岡刑事、泡くいながらも嬉しかったりして。

さて
それから羅針盤が地下を示してると叫ぶ川岡。
アイリス「地下には、薔薇組がいるよ?」
アイリス、ベロムーチョ、川岡の3人は一緒に地下へ。

地下に薔薇組を求めて行った筈が、
3人が出くわすのは今回の敵・根来衆。
あっ……これか、ここで予告の通りアイリスが「傷つく」のか……!?
思わず握る手に力がこもりました。緊張しました。

舞台真ん中で幻夜斎が喋っている途中で
アイリスたちが上の方を移動してくるのが分かりました。
ああっ……こんな危険な所に……アイリス……

川岡「なにやってんだー!」「お前等が薔薇組か」
ベロ「あれ薔薇組じゃねえよ」
幻夜斎「何者だ」
川岡「つけものだ、ウヒー」
……このあたりは何度見ても笑ってしまった。
「つけもの」は「なまもの」とか「くだもの」とか毎日変わってました。

川岡が幻夜斎によってハエにされます。
いつものゆっくりした倒れ方でした。
その後ベロが向かっていこうとするのを
「行っちゃだめ!」と叫んで止めるアイリス。
幻夜斎の力を感じ取る、アイリスならではのシーンです。
それまで川岡のおかげでお笑い的雰囲気でしたが、
アイリスの声で一気に緊迫感があがりました。
そんな鬼気迫るアイリスにもめっちゃ惚れ直す……

幻夜斎もアイリスのチカラを感じたようで、名を聞いてきます。
ベロが「アイリスちゃんどえーす!」と大袈裟に紹介。
うん。ベロらしいですね。うんうん。
笑えたし、雰囲気や流れを壊してはいない。
「お前には聞いてない」と言われいきり立って幻夜斎に迫るベロ。
それを慌てて止めようと「あっ、あっ、」って言いながら階段を駆けおりる…
そんなアイリスも可愛いなぁ……と思ってめっさアイリスみてたら、
いきなりババババン! とでっかい音がしたからびっくりした……(-- 
……なに……? ベロ、撃たれた……? いや、霊力の攻撃か…!
倒れるベロを愕然と見るアイリス、
一瞬後に「ベローーーー!」と叫びながら駆け寄るアイリス。
見ていて心が痛かった……。アイリスの悲痛な思いが伝わってきました。
今回いちばん胸が締め付けられたシーンです。いや、今までのショウで一番か。
ベロのそばにしゃがみ込んでうつむくアイリスに
「次はお前の番だ」と言う幻夜斎。ここの「間」もすごく緊張。
張りつめた空気が、アイリスの周りから次第に広がっていくようでした。
アイリスはしゃがみ込んで俯いたまま静かに…

「アイリス…怒ったからね…」

この言い方がいつもの可愛い調子ではなくちょっと低めの声なのですが
アイリスがほんとに悲しくて怒っている気持ちが痛いほどに伝わります。
そしてバッと立ち上がって顔を上げ、

「絶対に、ゆるさないんだから!」


ちょっと泣き声が混じったような、心の底から絞り出した声。
ベロを思いやる気持ちから出た真剣な怒りの声。ズシンと胸を打たれました。

それにしても、純粋で傷つきやすいアイリスに
ベロが倒れるというショッキングなシーンを見せるとは、幻夜斎め……
幻夜斎は格好いいし、独特の良さがある敵です。が、物語の中で見ると、
アイリスをこれ以降何度となく傷つけようとする悪い奴。

後から気づきました。
そうか、「アイリスが傷つく」という予告はこのことだったんだな…。
…心の傷です。怪我とかじゃなかった。
この後、霊力を大爆発させて体力を消耗し倒れます。
もちろん、そのことも大変なことです。アイリスの体にとって。
だけどやっぱり心の傷の方が深い。

さて、根来忍者どもはアイリスを囲もうとしました。
心配でしたが、同時に「きっと大丈夫」と思いました。
なぜならアイリスが怒っているからです。逆に怒ってなかったら、
心優しすぎるアイリスは敵に本気の攻撃とかできないと思います。

アイリス、霊力を最大放出して根来忍者どもを吹っ飛ばします。
その時、瞬間移動して消えてしまうわけですが、
ベロを置いていってしまいましたが、観劇後、ある人が
「あれはアイリスの意志で移動したんじゃないのでは?」
と言うのを聞いて、なるほど、と思いました。
とにかく敵をやっつけたい、と思って霊力を爆発させた時、
偶然に、というか、霊力自体が勝手に判断して、というか、
そんな感じで、意図せずに瞬間移動してしまったのではないか。

これは私見ですが、アイリスの霊力は、それ自体「アイリスを守る」という
強い意志のようなものを持っていて、つねに優しくアイリスを包んでいて…
今回も、霊力の意志がアイリスを守るために帝劇のどこか、あるいは近くに
本人の意志より先に瞬間移動させたんではないかと思うのです。

とりあえずその後ベロがハエにされただけだと分かって一安心でした。

                             ( 05 8/27 ) 

                              (つづく)


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