３〔　アイリス、花組だもん！！　〕

いろんな人に乗り移りアイリスを襲おうとした幻夜斎。
しかし正体がバれ、ついに最後の決戦となります。
アイリスはみんなに守られつつ戦いの場にいますが…
大神が、幻夜斎の凶刃をその身に受け、倒れます。
「おにいちゃん！！」
アイリスの驚愕と悲痛に満ちた絶叫。
真に迫っていて凄かった。大神の刺され方も凄かった
ですが、アイリスの絶叫によって緊迫感がより切実に。

そしてアイリスは大神を助けるため駆け寄ろうとしま
すが、周りにいた花組の皆に止められます。　大神も
「来るな！ 幻夜斎はアイリスを狙っているんだぞ」
と息も絶え絶えに叫びます。しかしアイリスは、なん
としても大神のもとへ行こうと、もがきます。
その様子が本当に必死で、観ていて力が入りました。

ついに紅蘭やカンナの手を振り払います。
そこで、アイリスにスポットが当たり周囲は暗くなり
アイリスの心の声、か、或いは本当に声に出していた
のか、独白が始まります。ここが感動の最高潮です。
バックミュージックはエチュード。静かに入ります。

静かな音楽に対し、アイリスは心の全てを、花組や大
神に対する思いを激しく語ります。

　アイリスはいつも独りだった。
　でも日本に来て、それは変わった。

　寄り添って寝てくれた、さくらのあたたかさ。
　泣いてる時に握ってくれたレニの手のぬくもり。
　落ち込んでいると、笑わせてくれた紅蘭の優しさ。
　誰もいない所で頭を撫でてくれたカンナの大きさ。
　大人として見て、接してくれたマリアの厳しさ。
　（言葉にはしなかったが、その場にいなかった
　　すみれや織姫のことも強く思っていたでしょう。）

　だからアイリスは、花組の仲間なんだと感じた。
　だからアイリスは、役に立とうとした。
　だからアイリスは、大人になろうとした。
　みんなのあったかさを、愛情を感じたから。
　みんなのために、アイリスは……。

　だから、守られてばかりじゃ、いけない。
　みんなのお荷物じゃない。役に立ちたい。

すみれの邸宅で、「逃げて」と言われた時に戸惑った
のも、こういう思いが常に心の中で渦巻いていたから
ではないか。と、私は考えます。

夏は、花組みんなのアイリスへの愛情が描かれた。
そして今回は、アイリスのみんなへの思いが…。

みんなの愛情にこたえるんだ。
みんなを助けるんだ。

独白の最後にアイリスは大神のそばに立ち、
舞台中央で叫びます。

「アイリス、花組だもん！！」

この叫び…観ている私の心に直接響きました。
いや、この叫びだけじゃない。
独白の全てが、強く強く…
耳で聞くのと同時に、心にズシッと届いてきました。

花組でいちばん霊力が強いアイリス。
でも花組で最年少のアイリス。
花組でいちばん小さくてかよわいアイリス。
そんなアイリスが、こんなにも強く叫ぶ。
思いを、爆発させる。
夏のマリアの言葉がよみがえる。
アイリスは、ここにいる誰よりも強い子…

アイリスがこんなに強い子になれるのは…それは花組
だからだ。この花組の仲間だからだ。アイリスの運命
を花組へと導いてくれた全てに、感謝したい。

それからアイリスは皆に名前を呼ばれ、「隊長の回復を！」と頼まれます。
力強く「うんっ」とうなずき、「イリス・グランジャンポーール！！」→ジャンポール登場。
それまでの緊迫したシーンとジャンポールの様子にはギャップがありましたが、でもいいんです。
それがアイリスです。どんな時も、攻撃でさえ可愛いのがアイリスですから。虹が出たり花が出たり。
「チチンのプイッ」の言い方は、夏よりもっと力を込めていました。ここまでの流れを反映しています。
霊力もより強く放出されていたでしょう。瀕死の重傷の大神を一発で回復させました。
大神は治ったのは勿論、立ち上がってウオオオッ！と叫ぶ様子からしてパワーアップしたようでした。

その後も戦いは続きます。大神とさくらが中心になって幻夜斎を倒そうとしますが、幻夜斎はやたら強く、
大神、またやられそうになります。そこでアイリスがなんと幻夜斎の腰のあたりに後ろから抱きついて動きを
封じるのです。アイリス大活躍で嬉しい反面、あんまり危ないことしないでくれーっとハラハラしました。

最後は、さくらの技によって幻夜斎は封印されます。