[ 第 9 回 ]    “  おおらいさま  ”


 参!  弐ぃ!  壱!
どっか〜〜〜ん!!

 こっとのは・かぁげきだ〜〜〜〜ん!!
                             ちゃっちゃかちゃっちゃっちゃ〜ん♪

 ハーイみなさん、こんちデ〜ス! “ことのは華劇壇”第9回デ〜ス!
 ヤッホー! 言葉の謎解き楽しいゾ! この番組は、帝国歌劇団アイリスと、
 織姫がおおくりするデ〜ス! 今日のおたよりは、どなたからですか〜?
 えとね、福島県の、「 びゃっこ 」ちゃん。 8歳の女の子からです!
      びゃっこちゃん、おたよりありがと〜〜!
 「おおらいさま」についてデスか? これは方言ですネ〜?
 うん、そ〜なの。カミナリ様のことだよっ。
      でね、ど〜して「さま」をつけて呼ぶんですか〜っていう質問なの。
 そうですネ〜、・・・たいてい、カミナリは夏に鳴るじゃないですか?
 うん、夏の「ふーぶつし」だよね!
 そのとーりデ〜ス。よく知ってますねアイリス。
      じゃあね、夏は英語で何といいマスかっ?
 サマー・・・。
 そうデス、だからこう言うのデス、カミナリ♪SUMMER!!
 うそデ〜ス!
 あっ! 決めぜりふ奪われた!
 奪っちゃったっ。
      ・・・ダメですヨッ。 うそつきはドロンコの始まりで〜すっ!
 それを言うならドロボーでーす。うーん、今日はアイリスにお株を奪われてマス。
 ねぇね、「さま」のつく言葉って、いっぱいあるよね。
      おとうさま、おかあさま、ごちそうさま、ごくろうさま・・・おてんとさま!
 そ〜ですネ〜。あと、イカサマとかね。アカラサマとか。とさまこうさま、はばかりさま。
 タコさまは?
 タコはイカより足が少ないからタコさんでいいデス。
      それから、アカラ様は何でもさらけ出す神様デス。
      マッサカ様はサカサマの神様、マッカエ様は裏表の神様・・・
 嘘デース・・・
 うっ。スグサマ来ますね〜・・・。
      ・・・まぁ、イカサマとかアカラサマのサマは様子を表す言葉ですから、
      おてんと様とかの「様」とは違いますネ・・・。
 「ごちそうさま」は? どっちの仲間?
 「ごちそう様」は、「御馳走」に「様」をつけてるんですから、
      おてんと様の仲間デス。でも尊敬してつけてるというよりは
      感謝して「様」をつけるのですネ。それが挨拶になったのでしょ〜。
 じゃあ「ごくろうさま」は、「ご苦労」に感謝してるの?
 ま、そうデスネ〜。「苦労」に「ご」と「様」をつけて丁寧に丁寧に言うってことは
      よほど相手の骨折りをねぎらってるか、皮肉を言ってるかのどっちかデス。
 お世話様とか、お待ち遠様、とか言う時って、相手に感謝したいんだね。
      カミナリ様は? 感謝の気持ちじゃ、ないよね?
 そ〜ですね、感謝じゃなくて畏怖・・・恐怖。大いなるものを恐れ敬う気持ちでしょう。
      でもイカサマなどの「サマ」と違うのは、人間と同じように尊敬の気持ちを込めたり、
      ありがたく思ったり、親しみを込めたりするためにつけるところですネ。
      そういうふうに、気持ちを込めるという意味では、
      おてんと様も ごちそう様も カミナリ様も同じだと思いマス。
 カミナリ様は怖いけど、尊敬もするんだねっ。だから「様」をつけるんだぁ。
      それで、ごちそう様は、感謝の気持ちで・・・
      おてんと様は、感謝と尊敬、両方かなぁ?
 ま〜、人によって込める気持ちは色々かも知れないデスけどネ。
      福島県のビャッコさん、だいたいこれで分かったでしょーか?
      それにしても日本では何にでも「様」をつけるデスネ〜。
      太陽もゴハンもサンダーも・・・みんな「神様」ってことでしょ〜か。
      さすが、ヤオヨロズの神の国デ〜ス。
 やおよろずって、たくさんってことだよね。こないだ織姫言ってたね。
      いーっぱい、神様がいるってこと?
 ええ、そこらじゅうにネ。山には山の神、川には川の神、風には風の神、家の神、
      筆の神。ラヂヲにはラヂヲの神様、舞台には舞台の神様デス。
      「様」のつくのが皆、神っぽい存在だとすればまだまだいますネ。
      思いつくかぎりでは、山上様、閻魔様、外法様・・・
 ねぇ、御酉様は?
 それ、何でしたっけ? あ、酉の市? 鷲神社のイベントですね?
 うんっ、去年行ったよね! 熊手がたくさんあったの!
 あ〜、うんうん。思い出しました。う〜ん、イベントにも「様」をつけるデスネ・・・
      酉に対する尊称? それとも行事そのものを敬うってことでしょーか・・・
      お祭りですから、「祭神」に対する尊敬かも知れないですネ。
 神社の神様って言ったら、おきつね様もいるよね。
 ええ、動物も神様になってマス。きっと本来人間が共にあるべきモノが神になるのデス。
      最近の人たちの中には人間だけがこの世に生きてると思ってる人、多いデス。
      それじゃ〜、いけませんネ〜。
 昔の人は動物とか自然とかモノとか、まわりのみんなを敬っていたんだよね!
 そーいう気持ちは大事ですネ。おごりたかぶりが多くなると人類はハメツするデス。
 ねぇ、ところでさ、「おとうさま」とか「おかあさま」とか、
      身近な人にも「さま」をつけることあるよね?
      やっぱり、「さん」とか「ちゃん」よりも強い気持ちを表すの?
 そーですね? より強く敬愛する、って印象でしょうネ。
 こんど「 おにいさま 」って言ってみようかなぁ・・・。
 ウオッ!? そ、それは、なかなか凶器な攻撃かも知れないデス・・・ッて、
      だれのこと言ってるですかっ!? 
アイリスッ、これラヂヲですヨ!
 あ、えへへ、なんでもないの。たとえばの話!
 まったくも〜。
・・・ワタシも別の呼び方考えてみよかな・・・。
      ま、それはいいとして! 何でもかんでも「様」つければいいってもんでも
      ないデス。「さん」や「ちゃん」の方が親しみがあって良い場合もあるし。
 お手紙は、仲が良くても「さま」って使うことがあるね。
 親しき仲にも礼儀あり、で〜すネ。
      お互いを敬う気持ちを忘れないというのは良い文化デス。
 お互いに、神様なのかな。
 おもしろいこと言いますネ。・・・うんうん。いちばん身近な神様は、
      友達や、仲間や、家族・・・恋人なのかも知れません。
 みんな、誰かにとって神様なんだね。
      そういえば織姫「おきゃく様は、神様デ〜ス!」って言ってたよね。
 そうでしたネ。でもね、逆に、お客様から「様」づけされることもあるでしょ。
      「姫様〜」とか。そうすると、こそばゆいですね。気持ちは嬉しいですケド。
 「おりひめ〜っ」って呼び捨てにしてる人だって、
      きっと織姫のこと大切に思ってるよね。
 「様」でも「さん」でも「ちゃん」でも「呼び捨て」でも、気持ちがこもってれば最高デス。
      「ちゃん」づけだって、相手を敬愛してるなら実にあったかい響きになるはずデス。
      だけど気持ちが無いと、いくら「様」づけで呼んだって意味ないデス。
 意味もなく、つけるんじゃなくって、「様」には気持ちをいっぱい込めるんだねっ。
 うんうん、「様」だけじゃなくてどんな呼び方でもそうですヨ。
 大事なのは、呼び方じゃなくて気持ちなんだね。
      アイリス、なんだかちょっと分かってきちゃった。
 相手によって人によって、ふさわしい呼び方というのもありますネ。
      たとえばアイリス。「アイリス」って呼び方そのものに、とっても愛がこもってます。
      「ちゃん」も「さん」もつけなくても、そのものが「愛称」ですネ。
 うんっ。なんだかみんなの優しさが伝わってくるみたい。
      でもアイリスちゃんとか、アイリスさんとか、「嬢」なんてお嬢様みたいに
      呼ばれちゃったりもするけど、どれでもアイリス嬉しいよ。
      織姫は、「織姫ちゃん」って呼ばれるのは珍しいよね!
 あ〜、今回のビャッコちゃんからのおたよりにそうあったデスネ。それもいい感じデス。
 織姫もアイリスみたいに「愛称」つけよっか。「あおりひめ」は・・・ヘンかな。
      ・・・ヒメちゃん。ヒメヒメ。オリピー・・・
 あ、え、え〜と、それは遠慮するデ〜ス。アイリス、もう時間なのデス。
      時計見るの忘れてました〜、みなさん、チャオ!
 え、えっ、あ、終わりなの? えっと、えっと、びゃっこちゃん今日はありがと〜!
      みんな、ばいば〜い!



★ 次回予告?(帝劇にて)★

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